遙か上空を名も知らぬ星が流れ、その命を燃やす。
まだ太陽も昇らない夜明け前、薄暗がりの中。
その命の最後の灯火を見上げながら、少年は一人立っていた。

 薄汚れた衣服や血の気の失せた肌はどこか少年を神秘的に見せたが、その薄紫の瞳だけは爛々と輝き、瞬きもせずに星の終わりを見つめる。
まるで、それを見ることが自らの宿命であるかの如く。

 やがて、チラチラと弱々しい輝きを星が放ち、ついにその帯すらも消え去ると、少年は途端に興味を無くしたようにその視線を目の前に落とした。
 少年の目の前には、数人の身なりのいい人間の遺体と、それよりも大人数の薄汚れた男たちの遺体が転がっていた。

 少年はややあって、小さな吐息をこぼす。
まるでそれが合図であったかのように、遠くで馬の嘶きが聞こえた。