ケータイ小説 野いちご

ある休日の話【短編】

こんな日
そんな日






私はかなり幸せだと思う。




「お腹大丈夫か?」




そう言って自分の勉強そっちのけでベッドで寝転ぶ私の背中をさするのは付き合って2年に
なる私の彼氏。




お腹の弱い私はこうやってよくお腹が痛くなったりする。




「うー、ありがとう」



痛がる私に嫌な顔一つせずいつも心配そうに背中を摩ってくれる彼には本当に感謝してる。



いい人見つけたよね。



だけど、今日だけはこんな状況は避けたかったのに。



ふっと、床に置いたカバンに目をやる。



今日はバレンタイン。



せっかくチョコレートを作って持ってきたのにもし、今日の朝試食と言うことで味見したあれが原因なら、とても彼には渡せない。




「今日バレンタインでしょ、
渡すつもりのチョコレートちょっとつまみ食いしたの。しかも家に忘れてきたの。
だからバチが当たったのかも」




ちょっとだけ嘘を着いた。



本当は持ってきた。



だけど、とても渡せないよ。










夕方になると、お腹の痛みもすっかり和らいだ。


「今日はごめんね。せっかくの休日にお腹痛くなっちゃって」



「気にすんなよ。もう大丈夫か?」




「おかげで全然大丈夫!
今度こそチョコ持ってくるからね」



もちろん成功したものをね。



「いいよ」




「ほら、もうもらったから」




そう言って私に見せたのは見覚えのあるラッピングされた四角い箱。



!!



わ、私のチョコレート!



「な、なんで。それ食べちゃダメだから」



「鞄からはみ出てるの見えたからもらった。
俺のでしょ?」



「お腹痛くなるよっ」




「大丈夫。俺健康だから」



「ダメだから!返して」



そう言って、プレゼント目掛けて手を伸ばしたとき、


「わっ」


…抱きしめられた。



「もう俺のものだから駄目だよ」



耳元で囁かれた。



心臓が跳ねる。




「わかった?」



「…お、お腹痛くなっても知らないから」



いつもは優しいのにたまに変な強引さを見せる。



そんな彼にはいつもドキドキさせられる。



どうしよう。
どんどん好きになってく。



彼の胸の中でのお腹は絶対に、痛くならないようにと願った、今日はそんな日だった。




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