寮に帰ると、部屋の左半分が空っぽだった。


……あまりに広い部屋。


その真ん中にある机の上に、封筒が置いてあった。


洗濯して返すと言ってお借りしたハンカチを置いて、封筒を手にとってみる。







『アズへ





   如月 紺』






くせになってしまった、と以前言っていた女の子らしい丸文字。


その名前にどきりとする。



のりづけすらされていない封筒を、ゆっくり開けてみる。


……ここに書いてあった"32"が、あたしたちの運命を変えたんだ……。