時計台の下でうずくまっていると、頭を何かでコンコンと叩かれた。


「何してるんだお前?」


この声は…江藤?

顔を上げると、江藤が私を見下ろしながら濡れた傘で叩いていた。

「ちょっと…
あんた何するのよ!!」


濡れた頭を触りながら、立ち上がって文句を言うと江藤は一歩退いて笑った。

「ははは!!
そんだけ元気があれば大丈夫だな」


そういえば…
今まで感じていたミコの気配が消えている。


「しかし、雨って嫌だよな。
今もすぐそこで、交通事故があったんだろ?
お前も早く帰って寝ちまった方が良いぞ」

江藤…?


「じゃあな、そんな所で寝てると風邪ひくぞ!!」

「ば、バカね…
寝る訳ないでしょ!!」


江藤は背中を向けたまま右手を振り、デパートの向こう側へと歩いて行った。



私は江藤がいなくなった後、事故の現場を見つめながら考えた…


ショウゴは間違いなく死んだ。
仮に交通事故で生きていたとしても、ミコに息の根を止められたはずだ。


次は間違いなく私だ…


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