シーンと静まり返るトイレの中に授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。

「授業……始まっちゃったね~」

「う、うん……」

目の前にいる好未の姿に戦々恐々しながらも頷く。

普段はバッチリと化粧をして髪を巻いている好未。

オシャレには絶対にぬかりのないはずなのに、今日に限ってはひどりありさまだ。

目の下に大きなクマを作り、顔には生気が感じられない。

数日間会っていなかっただけなのにひどくやつれている。

普段カラコンやつけまつげをしているせいで気付かなかったけれど、ノーメイクの目は一重でつり上がっていた。

唇は乾いてガサガサになり、皮がめくれあがっている。

あたしが知っている好未の姿とはかけ離れている。

まるで別人のようだった。