あれから雨花に話しかけるチャンスを窺ってみるけど、別れを切り出したあの日から雨花と視線が交わる事は一切なかった。


俺がどんなに雨花を見つめても、その視線を避けるようにそそくさと背中を向けられてしまう。


放課後の教室でのんびり本を読む姿も、俺を避けてなのか全く見かけなくなっていた。 


心の底から謝りたいって思っていても、俺にはそれすら許されないのか……。


罪悪感と歯がゆさを募らせながら、悶々とした時間ばかりが流れていったある日。


放課後に職員室付近を通りかかった雨花を見かけて、咄嗟に身を隠した。


なんて声をかければ雨花は、俺を避けずに足を止めてくれるだろう……。


そんな俺の落ち着かない心情なんて知る由もなく、


「小西さん、ちょっとお願いがあるんだけど」


うちのクラスの英語を担当してる先生が、雨花を呼び止める声が聞こえた。