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拓実「…ッ…」


初めて話した
私の過去を人に…

「それから私は意識不明になって一年間眠ってたの」

優希「だから今年の春にここへ来たのか」

「そう」


あーあ、
話しちゃったな…

話したところでどうにもならないのに…


来夜「今…。」


来夜が初めて私と話そうとした

来夜「今…。晴海は…?晴海はっ!?」


「あんたとハルはどんな関係?私、ハルの口からあんたの名前聞いたことない」


来夜「晴海は…。晴海は俺の」





来夜「恋人だよ」



!?!?!?!?
あ、そっか…



【なかなか会えないんだぁ】

そういう意味だったの…
なら教えてあげないと…


晴海も会いたいでしょ?



「晴海は今、病院で意識不明のままよ。」


いつ行っても、色んなチューブが繋がってて、機械の規則的な音しかしない


あのふわふわの茶色の髪も、ぱっちり二重の目も…



動かない…


たぶん、警察は晴海が呼んだんでしょ?
電話したのに出なくて、銃声が聞こえて…
焦ったよね、泣きそうになったよね


来夜「病院…、教えてくれねえか?」

「いいわよ、ただし来夜だけ」


愛希「えー!俺らはー?」

「絶対にダメ」

拓実「愛希…。桜木美優の言うとおりにしろ」

愛希「わぁったよ!」


来夜が静かにソファーから立ち上がった

来夜「ありがとうっ!」

静かに頭を下げて、私にお礼を言った

「ちょ、ちょっと!!!頭あげてよ!」

来夜「いや、あと少しだけ…」


優「来夜はずっと北沢晴海の事を探していたんですよ」

優希「そーそっ♪美優ちゃん、来夜のしたいようにさせてあげて?」

「……。」


ハル…
もうすぐ一年たつよ
目覚めたら…、来夜っていうステキな恋人が待っててくれるよ
私も待ってる


目覚めようよ…ハル…


「じゃあ明日放課後に」


来夜「わかった」


拓実「忘れ物だ、桜木美優」

ポスッ

ウイッグだ

「美優でいいよ、ありがとう」



私は雅竜の倉庫をあとにした



少し空が明るくなっていた