恋をなくした私は、『恋愛』だとか『好き』だとか、そんな言葉も嫌いになって今日も仕事に走るだけ。

休むことなく、でも時々振り返って。





「というわけで今日は第一・第二商品部合同で、次回のお試し会の為の実演練習をする」

「……」



ある日の午後。

昼下がりの日差しが差し込む会議室では第一・第二商品部から数名が集められ、真ん中で話す真崎さんに視線を向けている。



商品試用実演会、通称『お試し会』。

土日の集客の高い日にデパートの化粧品売り場に特設コーナーを設け、日頃商品を作っている私たち商品部の人間が直々にお客様にメイクをしたり使い方の提案をする。


使ってもらうことで良さを実感してもらえるし、売り上げも上がる。お客様の声を直接聞くことも出来る…と私たち側もメリットが多く、毎回いらっしゃる方もいるくらいお客様からも好評の企画。

当然その為にはそれなりに技術もいる。なのでこうして練習日を設けているわけだ。