その夜、
家に着いて散々悩んだ後、
少し眠ってしまった。


気分転換に、コンビニにでも行こう。


私は服を着替え、財布を持って玄関のドアを開けた。




ガチャ。





あ。




私がドアを開けたタイミングが、
お隣さんと同じだった。


隣人と鉢合わせたのは初めてだった。




うそ…。






中年イケメン王子様。






「あれ、君」

「あ…あの!」


この瞬間、私は運命を感じてしまった。

この人なら…。

「もう、大丈夫なんですか?
そっか、お隣さんだったなんてね」

「今日は、ありがとうございました。
あの、私、あなたに聞いてもらいたいことがあって…」

「え?」


なんだか、やっかいなことに巻き込まれそうだな、嫌だなって顏してる…?


それでも私は続けた。

「あの、少しだけ、お話聞いてくれませんか?」

彼は、引いている…。

「僕、これから出るんで…急いでるんです」


嘘だぁ、
私と一緒でコンビニとかでしょ。

そのラフな格好は。

デートとか、仕事じゃ、ないでしょ。


でも、ステキ。



私は、掴まる藁を見つけたみたいに
彼のトレーナーの袖を掴んで
離さなかった。