次の日の金曜日。






「指、大丈夫?」



朝、隣に座った吉井くんに声をかけた。




吉井くんは「あぁ」と言って、



絆創膏のない手を見せてきた。





「大丈夫だよ、ほんとありがとな」





ははっと、目を細めて手を自分の机の上に戻した。




やっぱり今日も手首には、ブレスレットとリング......




あの、綺麗な彼女とお揃いなのかな......



あ、彼女いるのにあんなハートの絆創膏、


大丈夫だったのかな.......



「吉井くん」



「ん?」





吉井くんは机の上にある腕を、膝の上に下ろして、




こっちを向いた。



「昨日、あんな絆創膏を貼って......



彼女に怒られなかった?」




吉井くんは、「彼女?」と首を傾げた。






「彼女なんていないけど」





「えええっ!う、うそだ!」




「はぁ?」




「だって、私見たんだから!



駅で綺麗な女の子と歩いているの......」






そう言って口を尖らせ、吉井くんから目をそらすと、



吉井くんはぐっと下から私の顔を覗き込んだ。






「なんで怒ってんの?」