「沙希ー!!やっぱ風間先輩、超かっこいいー!!」
高校に入学して、
バスケ部にかっこいい先輩がいるという噂を聞いて、
見に行ってから、はまってしまった風間先輩。
それから毎日のように、こうして親友の河原沙希(かわはらさき)と一緒に、
放課後体育館に通って風間先輩を見つめている。
「鈴(すず)、周り見なよ。
これ全員、風間先輩のファンだよ。
鈴も諦めたら?」
2学期になってもまだ体育館に通いつめる私に、
沙希は呆れたようにため息をついた。
「風間先輩、部長になったんだって、
もう、かっこよすぎるー!!」
少し汗をかいた茶髪の髪を揺らして、
ドリブルシュート........
「きゃーーーー!!!!!」
周りの女子たちが、一斉に騒ぎ出す。
すると風間先輩は、可愛く笑って、
その歓声に応えてくれるんだ。
「風間先輩って、自分がモテることわかってるっていうか、
ナルシストっていうか......」
「沙希!風間先輩のこと悪く言うな!」
「はいはい」
いいんだ、彼女になりたいとか、
そういうことじゃない。
ただ、かっこいいから見ていたい。
私にとって、風間先輩はアイドルみたいな存在なんだ。
沙希の他校の彼氏が、校門に迎えに来るまでのたった1時間。
これからもずっと、
私は毎日こうして沙希と一緒に、
風間先輩を見続けようと思っていた。