とある披露宴会場、多くの人が集まる中、私は友人を待ちながら、用意していた原稿に目を通していた。


申し遅れましたが私の名前は長谷川未来、今日は唯一無二の親友である妃奈の結婚式に出席するの。


それで、披露宴でのスピーチを頼まれたんだけど…正直、緊張しすぎて死にそう。


大切な大切な親友の晴れの日に、失敗なんかするわけにいかないもん。


そこであたしは、友達2人に頼んで、直前練習に付き合ってもらう事にしたの。


直前練習っていっても、建物の隅っこで聞いてもらうってだけだけど。


「未来ちゃん!
久しぶり!!」


一人目の友達、如月みやびちゃんが来た。


妃奈と私の共通の友達で、実はお嬢様だったりします。


それが証拠ってわけじゃないけど、今日は振袖で来たみたいです。


「阿紗子はもうすぐ来るから待ってね。」


そう言うみやびちゃんの後ろから、黒いドレスを来た女性が走ってきた。


「久しぶり!」


やって来たのは山野阿紗子ちゃん、高校2年の時の同級生で、みやびちゃんと同じく私と妃奈の友達である。


「久しぶり!
って…よく考えたら4ヶ月前にも会ったじゃん!」


4ヶ月前、あたし達は4人で旅行に行ったのだ。


社会人になってから、あたし達は毎年旅行に行ってて、今年は妃奈が結婚するお祝いも兼ねて、イタリアまで行ったのだ。


「だね。
…時間ないし、さっさと練習始めますか。」


阿紗子に言われて、あたしは小声で用意していた原稿を読む。


「…未来ちゃん、素敵!
まだ披露宴始まってないのに泣きそう。」


「みやびちゃん、大袈裟だよ。」


「でも感動的だったよ。
ってかスピーチにも書いてたけど、妃奈と未来は本当に付き合い長いよね。」


「まあね。」


あたしは思い出す。


10年前の桜が咲いた頃を…