「どんくせえな、早くしろよ。」

「秀ちゃん先に行けばいいのに。」

「ばかやろう。俺様がせっかく一緒に帰ってやるって言ってるのに、

迷惑そうにすんじゃねえ。

だいたい行くとこ同じなんだから、何が悪い。

ほれっ、さっさと歩け。」

秀ちゃんにじろりと睨まれて、ひいっと肩をすくめるあたし。

ずっしりと食い込む両手のカバンが

あたしの歩く速度を遅らせていることを知ってるくせに。

「うっ…」

一つ上の秀ちゃんは幼馴染。

幼稚園。

小学校。

中学。

いつだってあたしの一歩先を歩いて、

あたしの行く手を遮る。

そう、いつだって先回りして、

通せんぼして泣かせるような、そんないじめっ子。

だから、

去年留学してカナダに行った時はさすがに淋しかったけど

秀ちゃんの魔の手から逃れられてから

超平和な学園生活を送ってた

なのに…