夕方17時を回って、図書館からでた俺たちは物静かに帰路についていた。

とくに話すことはなかったけど、

愛樹といると、静かな時間でさえ居心地がよくて、楽しい。

なにも話さなくても、愛樹が隣にいてくれればそれでいい。

でも、俺はそう思ってても愛樹はどうなんだろう?

俺といて退屈してほしくないから、やっぱり話題を探してしまう。

「今日はありがとう。

これで、明後日から大丈夫そうだわ。」

「私はなにもしてないよ。藍田くんが頑張ったんだよ。

それに、私もたくさん教えてもらって・・・ありがとう。」

とくに、なにかを教えた記憶はないんだけど。

愛樹にそう言おうかと思ったけど、にっこり優しく微笑むその顔を、もう少し見ていたい。

ただ、微笑み返すだけにしておいた。

愛樹はそのまま前を向き、歩く。

俺もその隣を歩く。

駅についたら、俺たちは逆方向だからお別れだ。

この時間がずっと続けばいいのに。

ずっと、愛樹と一緒にいられればいいのに。

根性のわかれでもないのに、そんなこと考えてる。