―――ドォンッ!!!ドォンッ!!!




大きな音と地響きに、近くの建物に手をついた。





大砲はどんどんと打たれ、その度に揺れを感じ上手に動けない。





哀音は長い髪をひとつにまとめて、"哀音"の格好で戦場と化した京にいた。







少し離れたところで、新選組の勇ましい声が聞こえる。









先刻より西の方角から声がしたから、おそらく大砲に押されているのだろう。それに、今は火事で京は大火災にみまわれている。





そのせいで思うように攻めれないのも事実。







人々を逃がす人員が役割を終え、戦力に加わるのはあと四半刻は必要なはずで、哀音は石笛(いわぶえ)を手にした。








―――萩藩をはじめとする、長州藩が京に進軍をしてきたことから始まったこの戦い。









先日、萩藩に勝利をしたが、まだ終わらず戦いは続いている。









戦いが始まる前、前川から言われたことを思い出した。