私に春なんて来ない





私に春なんて、来ない





訪れるのは寒く冷たい暗闇の冬





吐く息が白に染まり、闇の中に溶けていく






小さく三味線をならす







哀しく、それであって暖かい音







誰かは鳥のさえずりの様だ、と言い



誰かは草木のざわめきの様だ、と言い






誰かは…私の様だ、と言った