夏休みまで、あと一週間を切っていた。

「今年の夏休み、どーすんの?ゆきちゃん」

廊下側の窓際から身を乗り出して、お嬢が言う。

「んー?私は家でまったりしてるよー」

「羽山君とデートとかしないの?」

「私、暑い時期は貧血とか起こしやすいからさぁ…お家デートなの」

えへへ、と、照れ臭そうに宗方が笑う。

「お嬢は?」

「私は海とかプールとか行きたいなぁ。しばらく運動してないから、思いっきりスポーツとかしたいの」

「相変わらずアクティブだよねぇ、お嬢」

スポーツ系元気少女のお嬢と、インドア系小娘の宗方。

対照的だからこそ、今まで親友でいられたのかもしれない。

「ところでさあ」

お嬢は視線を下げる。

「どしたの?コレ」

彼女の視線の先には。

「……」

机に突っ伏して、真っ白な灰になった俺がいた。