side龍牙
ここ二ヶ月、俺は付きまとわれている。
「龍牙ーっ!」
放課後、校門を出ると、毎日突然抱きついてくるこいつ。
「また来たのかよ」
「毎日くるもん」
そう言って、今度は腕を絡めてくるコイツ。
遠藤 千愛実
はっきり言って、結構ウザい。
だから俺は
「ウザい。離れろ」
って、ハッキリ言うんだけど、
「今からどこ行くの?」
こいつは聞かない。
ストレートに自分の気持ちを俺にぶつけてくる。
毎日こうやって押しかけてくるし、人目を気にしない。
せっかく学校のウザい女達から解放されたと思ったら、今度はコイツが待ってる。
「龍牙?」
返事をしない俺が不思議に思ったのか、顔を覗きこんできた。
「……どこだっていいだろ」
俺は絡まれていた腕を振り払った。