まだかな……まだかな……。



「えー、ですからここにX-2を代入して……」


教壇で数学を教えているのは、担任の飯島先生。

通称、シマちゃん。


まだ30代の若い先生。


入学して早二週間。

私はシマちゃんの話をほぼ無視した状態で、終わりのチャイムが鳴るのを待っていた。


早くー……早くー……!




早くしないと……。



キーンコーン……。


教室に終わりを告げるチャイムが響く。


「じゃあ、今日はこの辺で……」


シマちゃんの言葉と同時に、私は教科書を机の中にしまい、鞄を持って教室を飛び出した。



「こら!遠藤!まだ挨拶してないぞ!」


「ごめんシマちゃん!またね!」


「待ってよ千愛実ー!」



南波も私の後に続いて教室をでた。