side 千愛実




あの日、龍牙が女の子と2人で帰っているのを見た日。




私はあの日から、龍牙の前に姿を見せることはなかった。





けれど、どうしても龍牙に対する気持ちは消えてはくれない。





目に焼き付いている、並んで歩く二人の姿。




素直にお似合いだと思った。





それが余計に悔しかったし、胸が痛んだ。




諦めなきゃいけない。


龍牙がやっと心を許した相手があの子なら、それを壊してはいけない。



それは分かってる。


分かってるんだ。






だけど。




「会いたいよっ……」





どうしても会いたい。



ただ、一目見られるだけでもいい。




それだけでいいから。