side 龍牙


『龍牙は逃げてるだけなんだ!』


『この臆病者ーー!!』




授業中、アイツに言われた言葉が頭の中でこだます。




あの時アイツに言われたことは、全部図星だった。


心のどこかで隠して、認めようとしなかった、臆病な自分。



そこを指摘されて、逆ギレしたんだ。



でもその反面、誰かにそう言って欲しかった自分もいた。



母親が死んでも泣かなかった俺。



そんな俺を見て、周りの人達は強い子だねって言った。




だから俺は、誰かに臆病で醜いんだって、言ってほしかったのかもしれない。



どうして言って欲しかったのかは、分からないけど。



もしかしたら、本当の自分を見てほしかったのかもしれないな。