「戦いの準備は整っている。」
アレハンドロいや、グレゴリオは秘書サロメに囁いた。
 今朝の議員達を納得させる為の会議は、サロメが見当たらず、グレゴリオは憤慨していた。
 「そう怒るな。」
サロメはグレゴリオの部屋の自分のカウチに腰掛け、グレゴリオをなだめた。
「痩せた王様は誰がやるんだ。」
サロメがグレゴリオに尋ねると、グレゴリオは少し苦く笑った。夕べの失敗を自嘲したのだ。
「エルリオンだ。お喋りエルフの。」
「あの金髪ね。なるほどオニキスは知らないだろうね。」
サロメは下を向き、グレゴリオに手紙を渡した。
「それが俺が今朝いなかった理由だ。」
ニヤつきながらサロメは言ってグレゴリオの顔を覗き込んだ。
「なるほど、優秀な秘書だ。」
グレゴリオはその手紙を引き裂き、暖炉へ放り投げると、手紙は黒い縁を作り消滅した。
サロメは暖炉の炎を見つめて、タバコを呑みたくなったようすだった。
「ユーリはもう少し長くザインに滞在してるとか。」
サロメがタバコを取り出しながら言った。
「灰を床に落とすなよ。」
神経質にグレゴリオは机に向いながら言った。
「ここも禁煙にするの。」
サロメが苦い顔できいた。
「お前しだいだな。」
グレゴリオはイタズラを企む眼差しでサロメを、脅かした。
「まぁいいさ、もうここからはさるんだ。」
サロメが天井を仰いで、タバコに火を付けた。
「だな。」
グレゴリオはため息をついて言った。