あたしが夜の世界に入ったのは、好きな人を助けるためだった。 叶人と出逢う前の、別のホストだった。 信じていたのに、裏切られた。 あたしは本命の女じゃなかった。 橋の上から、ゆらゆらと揺れる川面を見下ろす。 「死んじゃいそーな顔して、どーしたの?」 可愛らしい顔立ちの、長身の男に声を掛けられた。 それが、叶人との出逢いだった。