「すごーい!」

「あたし、すっごい感動しちゃった!」

「霧ヶ峰くんって、歌がすごく上手なんだね!」

女子校陣からの黄色い声に、俺はマイクの電源を切ってテーブルのうえに置いた。

歌が上手と言われるのは小さい頃から言われなれている。

中学の時音楽の先生から歌手になることを勧められたくらいだし、自分でも上手だと自覚している。

人から褒められて悪い気はしない…はずだけどな。

「おい、七緒の次ってタケルじゃなかったかー?」

「うわー、俺歌いたくねー」

絶望している今井とタケルに、太はクスクスと笑っている。

彼らは太が所属している軽音楽部の仲間である。