クリスマス、世間ではイルミネーションを楽しむ人たちで賑わう中、私は一人寂しくSPのお仕事。

雪の舞い散る銀座の街で、私は本日公開の「黒纏う騎士」の絵画のボディガード。

と言えば聞こえはいいけど、実は単なる場外の警備だった。

しかも裏口スタッフルームで警備は一人。

もちろんスタッフルームの中にはSPの上司たちが控えていて、私は正直囮兼連絡役ね。

吐く息は白く、SPの制服も手袋も薄っぺらくて寒い。

「!」

突然、私の首にふわりとしたものが巻きつき、思わずだらしなく大声を出しそうになって思いとどまった。

私は素早く背後を振り向き、ファイティングポーズを取ろうとしたときだった。

私の手を温かい手袋が包んだ。

そして目の前にはタキシードに真っ黒なマントをつけた仮面の男が立っていた。

「クロ!」

私の目の前にいたのはクロードだった。

彼は今、私の口を塞いで、人差し指を立てて口許に当てていた。

私が落ち着くとそっと手を外してくれた。

「これは何の真似?」

私が声を抑えてそう言うと。

「今日は寒いからな。あと、これを君に」

クロードは背後から花束を、渡してくれた。

花束には小さな人形が取り付けられていた。

「メリークリスマス」

そういうとクロードは背を向けた。

「待って」

私は咄嗟にそういうと、彼は立ち止まった。

「ありがとう。でも私は今仕事中なの。口説くなら時間を選ばないとね」

すると、クロードは軽い口調でこういった。

「冷たいねー。冬空で心もガッチガチのSPってわけか、、、!」

すると突然クロードは、胸ポケットから銃を取り出した。

私はあまりの突然のことで目をつむってしまった。

サイレンサー付きの銃は音を立てずに発砲され、クロードは私を抱きしめてどこかに飛び込んだようだ。

「な、なんなのよ!」

私は思わず大きな声を上げてしまった。

「そんなんじゃ。SP失格だぜ」