恋人という関係になった私たちは、幾度も肌を重ねてきた。
彼は毎日のようにここを訪れては、花を習うことよりも私との触れ合いを求めてくる。
細くて長い彼の指で、淫らな女に変わっていく私。
抱かれている間は余計な心配などすることもなく、私は1人の女として彼を愛することが出来ていた。
また、彼の熱い吐息や汗を感じるたびに、私の心は満たされていく。
「彼女がいても、今の彼は私だけのものだ」と思うことが出来るから。

「もうこんな時間……。光、そろそろ帰る支度をして」
隣で寝息を立てる彼に、優しい声で話しかける私。
「ん……」
体を揺すられた彼は、まぶたに力を入れながら目をこすっていく。
いつからか、私は自然に彼を「光」と呼ぶようになり、彼もまた、自分のことを「オレ」と言うようになった。
彼は「まだ眠たい」と言うかのような表情で、私の背中に両手を回してくる。
「泊まってはだめ? まだ、こうしていたい」
私の胸に顔を埋めながら、甘えた口調で囁いてくる彼。
「だめよ。父や家政婦に見つかれば、ややこしいことになるもの」
本当は、私も彼と同じ気持ちだった。