事の発端は、そろそろ米がなくなるだろっていう和泉くんの一言だった。

指摘された通り、確かにシンクの一番下の引き出しに入っている米びつはもう底が見えてきそうで、それを私も把握していた。
次の買い物で買ってこないとって、忘れないようにメモまでとっておいたほど。

だって、おかずはどうにでもなるけど、お米を切らせたら代わりになるモノがないし、和泉くんがお米好きだって今までの生活で分かっていたから。

朝はパン派みたいだけど、それも多分、面倒くさくないからって理由からきてるんじゃないかとひそかに思ってる。
夕飯とか、パスタとかグラタンとか、そういうものよりも、がっつりおかずに白米みたいな組み合わせの方が箸が進むから。

細いのにおかわりとかすると、ああ和泉くんも男の人なんだなって嬉しくなる。

嬉しくなるっていうのはおかしいかもしれないけど……うん。嬉しくなる。
冷静沈着ストイックな和泉くんの、男の部分を垣間見れた気がして。

もっと言えば、他の人は見られない和泉くんの部分を、私だけが見られた気がして。

そんな下心や勝手な独占欲から、しっかりしたおかずに白米って組み合わせばかりしていたら、あっという間にお米が底をついてしまって。
本当に底が見えてきたのが昨日、金曜日の夜の事。