夕飯を買いにコンビニに行くと言うと、マンションを出て右に少し歩けばあるからと和泉くんが教えてくれた。

その通りに歩いて辿りついたコンビニで、夕飯と明日の朝食に数個の菓子パンを、それからペットボトルを何本か買い込む。

和泉くんにも何か差し入れを、と思ってコーヒーのコーナーの前に立ったけれど、好みが分からなくて悩む。
ブラックか微糖なのか、それともミルクまで入ったものなのか。

高校の頃のイメージ的には甘いのでも大丈夫そうだし実際大丈夫だったけど、今の和泉くんから判断するなら完全にブラックだ。
味覚が変わってるかもしれないし、難しい。

悩んだ挙句、全部買って選んでもらおうかとも思ったけれど、だったらインスタントコーヒーが買える事に気づいてそっちにした。
インスタントコーヒーなら何度も飲めるしよっぽど経済的だ。

パンとペットボトルでかさばるビニール袋をぶらさげながら、マンションに戻る。
何度見ても相変わらずすごいなぁと、その高級感に感心しながら。

エントランスからエレベーターホールに向かう途中にあるポスト。
なんとなく506号室にローマ字で書かれているizumiという文字に目を移してから部屋に戻った。