こんな現実になるはずじゃなかった。


少なくとも、半年前までは・・・

女優になるという夢を追いかけて、

半同棲状態の、年上の彼氏だっていて・・・



毎日が、バイトとオーディション

彼氏と過ごす時間が

忙しくとも充実していて・・・


けれど、そんな日々は当たり前なんかじゃなく、

そんな日々が崩れるのに、それほど時間はかからなかった。


オーディションを受ける度


「少しくらい顔が良くても
年がね・・・
それに、感じられるものがないんだよね。
特技という特技もないみたいだし
顔だけじゃ、この世界は無理だよ。」


投げつけられてきた言葉。


けれど、諦めなかった。

自分が才能がないなんて
認めたくなかった。


「加奈なら、いつか受かるよ。
審査員の見る目がないだけだよ」


そんな、彼氏の言葉も支えになって
何十回落ちても、受け続けた。


受け続けた・・・