目を開けると、そこは
翔太の当主就任パーティが開かれた時にあたしが散策していた庭園の中だった。

周りを見渡せば一面にバラの木。

ただ、花はもう散ってしまったのか、深緑の葉だけが寒々しく生えていた。

バラの木だけでなく、やはり様々な植物が植えてあり、生い茂っているのだが、
その緑が必要以上に深い色をしているようだった。寒々しい。


それと…頭が締め付けられそうな程の圧倒的な魔力を感じる。

学園で感じていたものと同じだが、ここまで強い魔力だと目眩を起こしそうだ。

こんなにも強い力…
今まで感じたことがない。


「ここは…」

雅人は周りをキョロキョロと見渡している。

「…"サファイア"の本拠地の庭」

あたしは淡々と告げる。

「来たことあんのか？」

「一回だけね」

あの時は夜であんまり分からなかったけど、ここは本当に綺麗な場所。

様々な植物が植えてあって、なんだか落ち着く。



さて、これからどうしようか？

溢れ出てくるこの魔力の源を突き止めることが、サファイアを見つける一番手っ取り早い方法だけど、

"ガーネット"の皆とも合流しないといけない。

皆は一体どこへ？まだ来てないなんてそんなこと…


「「「「「由良さーん！」」」」」

あるわけないね。

後ろを振り向く。


「こ、これが…」
「もしかして、あの…？」

二人は驚きを隠せないといった表情をしていた。

そんな二人にあたしは笑いかけた。


それが、答えだよ。

あたしの名前を呼んだのは、あたしの大好きな家族。


「来てくれてありがとう」

"ガーネット"の皆。