絶対に翔太に勝つ、と決めた日から2週間、あたしはこれまでにないくらい勉強した。


と言っても、仕事もしてたから翔太ほど勉強時間は確保できなかったんだけどね。


でもやれるだけのことはしたし、あとは明日のテストを受けるだけ!



だったのですが……


よりによってこんな日に、仕事をしなければならないなんて……

思わず溜息が出てしまう。


「"クラッシュ"」

岩が崩れて、洞窟への道が現れる。

あたしは今、学園の近くの山で仕事の真っ最中なのです。


気味の悪い声が辺りに響き渡る。

あーもう帰りたい…!


今回の仕事の相手は、デビル・バット。

悪魔のコウモリと呼ばれる彼らは、その名の通り、極悪非道なコウモリなんです。

人を驚かせ、その周りに集り、人を恐怖のドン底に突き落とし、彼らが作る猛毒で死に至らしめる————


その猛毒は一気に体内を駆け巡り、人はものの1分で死んでしまう。


つまり、彼らの毒牙にかけられた瞬間から死から逃れられないということ。

こう説明すると、とんでもなく強くて恐ろしいコウモリ、という印象を与えてしまうかもしれないけど、

実際はそんなことはない。


光系統の魔法には滅法弱く、1匹なら小学生でも簡単に倒すことができるんだよね。


しかし彼らは大きな群で行動するため、なかなか魔法が当たらない。

魔法学校の先生だって、倒すのには苦労する。


それに群れで行動してると、かなり強い。連携プレーが凄いんだ。