「未亜、靴下に手紙入れたでしょ?」


朝、起きてリビングに入るなり母が待ち構えていたかのように現れた。

そして昨日わたしが靴下の中に入れた手紙をわたしの目の前でひらひらさせる。

中身を読んだんだろう。
にやっと笑っている顔にため息がでる。

ママは、わたしと俊が付き合っていたこと。
約束のこと。
わたしが今も俊のことも好きなことも知っている。

ただひとつをのぞいて。


「未亜と俊くんってさ、別れてたの?ママ、話聞いてたけどそれだけがよくわからなかったのよね。」


ママは、そう言いながら靴下の中に手紙を戻して、ソファーに腰を下ろした。

手紙戻すってことは、やっぱり茶化したかっただけだったんだ。


「別れたよ。連絡も一切とってない。中学の卒業式の日に全部決めたの。」


別にママに隠しとく必要もなかったけど、わざわざ口にしたくもなかった。

どうなろうと変わらずにわたしは俊のことが好きだし、待ってるって決めていたから。