その日以来、私は

律儀に、約束した通り

夜10時になると


「はいはい、もう10時か?」


「あ、うん。」


電話をかけているけれど・・・


毎日、電話をかける度に

外にいるようで

車の音や人の話し声が

耳の奥に響く。


そして、何を話すわけでもなく


「お前、今どこ?」


「家だけど・・・」


「ならいい。さっさと寝ろよ?」


「うん」


「寒くなってきたから
風邪ひくなよ?」


「うん・・・」


「じゃあ、また明日な?」


「うん・・・」


「おやすみ」


「おやすみなさい・・・」


そんな会話をし、

少し・・・寂しいような

変な気持ちを抱えながら

眠りにつく。