それはもう、ずっと、ずっと昔。


今から11年も前。

私が、5歳の時。







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“ピンポーン”




お母さんとお父さんと私、3人が暮らす、この小さな一軒家にインターホンのベルが響いた。



「結子ちゃん、お父さんよ。開けてあげて」


「うんっ!」





いつもなら、お父さんの帰りはもう少し遅い。

夜6時とか。



でも今日はお仕事が早く終わったんだ、と嬉しくなり、私はお母さんの優しい声を背中に聞いて玄関に走った。