家に到着して、自分の部屋に腰を下ろした。
それから、ポケットに入れていた携帯を出す。

いつもなら帰宅してすぐに部屋着に着替えるのに、今日はいち早く信司に連絡したかった。


メモリーでなく、発信履歴から信司を探す。
そっちの方が早い。

信司に電話をかけると、俺は携帯を耳につけた。


少しのコール音がした後、信司が出る。


「どした」

「信司」

「何」

「暇、あるか」

「いつ」

「明日、深夜。
俺、同僚と食事あるからその後」

「いいけど…別にそんな無理しないで哲の休みでもよくね?」


尤もな意見だけど、早く佐緒里ちゃんの事を伝えたい俺は

「明日がいいんだ」

そう強く言った。

それに何かを察したのか、信司は真面目な口調で「わかった」と言った。


「食事の後信司ん家に向かっていい?」

「いいよ、俺家にいるし、鍵開けておくから勝手に入って来いよ」

「不用心だよ」

「元総神総長なめんなって」

「ははっ、そうだね」

「じゃあ、また明日な。用ってそれだけだろ?」

「うん、また明日」