三人で入ったのは、昼から開いてる居酒屋。
店員によって、個室の御座敷に通された俺達。

俺と拓、向かいに朱美ちゃんで座っていた。


「んー…生だな」

メニューを開きながら、朱美ちゃんはぽつりと言う。
それに突っ込んだのは拓。


「さすがだな」

「何が」

「女の子ならカシスオレンジ!って可愛く言わないとこが」

「…それを私らに求めてるなら、拓。残念なことだ」

「間違いねえな。菜々美も何だかんだ焼酎か日本酒だし」

「な、菜々美ちゃんってそうなの?」

その拓の発言に驚いた俺が戸惑った声を出すと、拓は俺を見ずに頷いた。


「だって、菜々美、炭酸嫌いだから生飲めないし。
それに甘い酒も酒じゃねえとか言って、焼酎もロックだし」

「………そ、それは男らしくて何より」

「ぎゃははは、菜々美、サイコーだな。
でも、昔の菜々美を知ってる奴なら驚かねーけど」