それは、外に雪が降り積もり凍えるような寒さの二月の冬だった。
二月はバレンタインデーで男子も女子も盛り上がる時期。、
私も正直彼氏が欲しいなと思っていた頃だった。
そんな時だ。
親友の下里澪(さがり れい)が私に知らせてくれたのは。
「莉音(りお)!遑 優希(いとま ゆうき)!莉音のこと好きだって!!!」
遑 優希。そう。彼は私の『好きな人』である。
遑は成績優秀で学年では必ず一桁の順位。
休み時間には一人読書。
話しても同じ部活の人とだけ。
そんな『真面目くん』だった。
そんな真面目くんのどこがいいのかって思われると思う。
私も正直最初は嫌いまであった。
話しかけても「うん。」とかしか言わない。
それほどそっけない。ずっとぼっち。
あれはないな。
って考えてた。
でも、遑が友達と話してる時に見せてた笑顔から、私は目をそらすことができなかった。
遑でも、あんな笑うんだ。
そこから遑を意識するようになった。
そしていつの間にかあの笑顔が大好きになり、
私だけに向けて欲しいと思った。
そう、私は彼に恋をした。
もう、半年も片想いをしていた私。
こんな知らせを聞いて喜ばないわけはない。
嬉しくて嬉しくて聞いたときは何も言えなかった。
私なんて遑とは正反対で、頭は悪いし、なにかやらかしては先生と個別指導、遅刻・欠席の常習犯。
こんなやつと、遑が釣り合うわけ無い。
いつかは諦めなきゃいけない恋だな。
とか、そんなことばかり考えてた。
なのに、現実は違った。
勝利の女神は私に微笑んでいる。
「澪…それ…ほんと…?」
半分声を震わせ、問いかける。
すると澪は私よりも興奮しているのか、腕を縦に振りながら
「ほんとだよ!嘘なんかつかないよっ!莉音と遑!両想いだったんだよ!」