「では、ごゆっくりと………」


「我々は、外で待機していますので。」

「私も外におります。」

ミヤビに案内された部屋に二人だけ入った。
他の人達は気を使ってくれたのだろう。


さすが王の城の一室とあって内装はとても綺麗なものだった。



「白音、大変だったでしょう?
最近、反乱や貧困がますます増えているわ。
全ての政治を任されている白薔薇の一族の王子が亡くなられたなんて……」



「兄様が亡くなられたのは悲しかった……

でも、私達白薔薇は、つねにまっすぐ光を見ていなくてはいけないもの。

兄様の分まで、人々を守る。



そういえば、黒夢も今日初めて宮廷の外へ出たの?」


まっすぐで暖かい白音。

静かでおしとやかな黒夢。


辺りの空気は不思議なものだった。




「初めてよ。私には元々父がいないし、母様は、白音の母様同様に忙しくて……兄様は………仕事だしね。


でも驚いたわ、こんなに明るい場所があるだなんて、とても暖かいし。」



驚いた。
白音とは真逆の事を感じていたから。


よく考えれば、白薔薇は白、黒薔薇は黒
なのだから、考えが、真逆なのは当たり前なのだが。




「お互いお母様が頑張ってくれている事は同じね。

そういえば、兄様の行っていた北の地は黒薔薇がなんとかしてくれたと聞いたわ。

本当にありがとうね。」



嬉しそうに、優しい笑みを浮かべる白音