9月20日。

誠は私服で、麗菜と名乗るおじいさんのところへ向かった。

「お、誠」

「おはよう」

笑顔で声をかける誠。そのとき、気づく。おじいさんの服の内側に見える、一本の黒い線。

「ふーん。そういう事か…」

ボソッと呟く誠。

「誠、お前、今日も学校行けへんのか?」

おじいさんがそう言った瞬間、誠は勢いよく黒い線を弾いた。そのとき、線の正体が明らかになる。




イヤホン。



確かに、イヤホンだ。服の内側にぶら下がる線は、ロン毛でわからなかったが、耳へと繋がっていたみたいだ。

「何するんや、誠…」

その瞬間、突然慌てるおじいさん。

「何や、そのイヤホン?」

「ああ、これな……音楽、聴いてたんや」

「そっか」

「そうや」

「ほんなら、一個質問させてくれ、麗菜」