次の日仕事に出ると、早速ユリエさんから外に呼び出された。

お茶でも飲みながらゆっくりお話ししましょ、と近くの喫茶店に入る。



「フミエさんから聞いてると思うけど……」



そう言って目配せするユリエさんは、間違いなくお節介を楽しんでいる。



「お見合い、ですよね?
聞いてます」



「そう。
先方からね、是非にって言われてるから」



母にも負けず劣らずの小皺が、ユリエさんの目尻にもくっきりと浮かんでいる。
化粧やファッションで若作りしているけど、年齢は隠せないなあ、などと、しみじみとそんなとを思う。
可愛らしく生クリームが浮かんだアイスココアなんか飲んでるけど、微妙すぎるな。



「覚えてるかなあ、何度か、うちのコピー機の修理に来てた、嶋田くんなんだけど」



そう言って渡されたお見合い写真。
光沢のあるアイボリーに、ゴールドのラインが
表紙に輝いている。
重厚感があるな。
今時、本当にお見合い写真なんかあるんだ。
テレビドラマでしか見たことないや。



「……あ、ああ、はい」



ふわり、とそれを開いてみると、確かに、一度か二度、会ったことがあるような気がする男性が微笑んでいる。

これと言ってあまり特徴のない顔。
切れ長の目に、縁なし眼鏡。
頬骨が少し出ていて、口は小さい。
人はよさそう。