次の日の日曜日。
私はこうくんと会う約束をしていた。
朝の10時に、ボルボで迎えに来てくれることになっている。


昨日、カツオくんとファミレスで別れた後、私はなけなしの小銭で缶ビールを買って、部屋で一人飲んだ。
飲んでも飲んでも酔わなくて、結局4本飲み干し、それでも寝付けず、うだうだしていた挙げ句に若干二日酔い。

ああ、できたら今日は誰にも会いたくないんだけどなーとブツブツ言いながら、リビングで母親特製のリンゴキャベツジュースを飲んでいる。



「ひどい顔。
嶋田くんに嫌われるわよ」


母親は面白がってそんな風に言うけど。
そんなことであの優しい嶋田くんに嫌われてしまったら、どんなにかいいだろう。
今、私の気持ちは嶋田くんの優しさに反比例して、どんどん拓に傾いているような気がする。
そのことばかりが頭の中をぐるぐるして、酔わなかったのも眠れなかったのも、きっとそのせい。

もう、どうしようもないのに。
どうにもならないことなのに。

そう思ってまた、二日酔いで重たい頭を抱える。



「冗談よ」



母親はそう明るく笑って見せるけれど、私はどうも笑えない。
笑うと、こめかみがひきつる。



「ところで、拓史くんは元気だったの?
会ったんでしょ? 明日香ちゃんのパーティーで」


母親なりに、探りを入れてくる。

気になるんだろうな。
母も何だかんだ、拓の毒牙に填まっていた女の一人なのだ。