【緒方陸 side】
「いいの?陸」
「なにが」
「今日も来てるよ。翼」
放課後の屋上。
フェンス越しに、学校の校門を見ている吉田がそんなことを言う。
最近、毎日同じことを言われてる気がする。
席替えがあった日から、翼は毎日ハム子に会いに来てるらしい。
席替えで、俺とハム子は席が離れた。
別れて気まずかったらから、ちょうど良かったのかもしれない。
「あーあ、なんでこうなっちゃったのかね〜」
意味ありげにそんなことを言う吉田に、眉がピクッと動いてしまった。
「……俺だって、知らねーよ」
できることなら、そばにいたかった。
俺が守ってやりたかった。
でもいつの間にか逆になってて、ハム子の強さに甘えてる自分がいるんだ。