「・・・・・・?」

トイレの個室から考え事をしながらユウが出て来た。

鏡の前で化粧を直すサエが鏡越しに言った。
「どした?」

「あ・・・別に、エヘヘッ」

「悩みあんなら聞くよ?」

「ううん、たいした事じゃないから大丈夫・・ありがとサエちゃん」

「ならいいけどさ、一人で悩んじゃだめよ?ユウ何かあったら、いつでもアタシに言ってよ?」

「うん、ホントに大丈夫だから」

ニッコリ笑った。

「あ・・・そういえばサエちゃん彼氏とは仲直りしたの?」

「・・・・・これ」

ユウの目の前に口紅を突き出した。

「!?これ有名なブランドの新色!」

「コレで手をうったワケ・・・アッチから謝ってきたけどアタシの気が治まらないからさ、コレ買わせたの!」
「へぇ〜・・・」

「で、ケンカの原因は?」

軽いキモチで聞く。

「赤ちゃんよ」

「え?!サエちゃん不倫してるの???」

「違う違う!アタシ妊娠したと思ってさぁ・・・生理ずっと遅れててこなかったから、で・・彼氏に妊娠したカモって言ったの」

「妊娠?!」

<ドキィーーーッ!!!>

「まあ結局はアタシの勘違いで、生理来たんだけど〜・・そん時の彼氏の態度をにキレちゃって・・・でモメてたワケよ」

「に・・妊娠」

「生理が遅れてたのは、体調崩してたせいみたいだったんだけど・・ホントあの時のアイツの態度、今思い出してもハラ立つわっ」

プルプルと握った拳を掲げ怒りをあらわにするサエ。
しかし、ユウにはサエより気になる事があった。


<・・妊娠・・・?>

チクリ・・不安が胸に刺さる。
ユウの顔は少し曇り、また考える・・・・



<ワタシもしかして・・・?・・・妊娠?してる・・・・とか?>
ドキドキドキドキドキドキドキッッッ
胸が違う意味で高鳴る。

ユウは考える。
<いやいやいやいや!そんなハズないじゃんっ!!!だって・・だって・・・!そうだよ!サエちゃんが言ってたみたいにワタシも疲れてんだよ、きっと!遅れてるだけさ!!!>

ドキドキドキドキドキドキ・・・・

不安が一日ユウに付きまとって、仕事に集中出来なかった。

「・・ふぅ・・・」

重い溜め息ばかりくり返す。