【side 紗奈】



「…ゔっ!」



思いっきり体育館裏の壁に叩きつけられた。



背中がジンと痛む。



ゆっくりと顔を上げるとあたしの目の前にはガラの悪い2年の先輩が3人立っている。



いつもあたしのことを呼び出してはいじめてくる先輩。



もう逆に慣れたし、先輩達の名前も覚えた。



「北村さ〜、アンタいつになったらその髪黒くなるんだよ!?」



3人の真ん中にいる金髪の先輩、武井りかがあたしの髪をガシッと掴んであたしを見下ろす。



その汚い手であたしの髪に触らないでよ。



そう言ってやりたいけど、背中を打たれた痛みで声がうまく出せない。



「…し、仕方ない…でしょ…!?元々この髪色なんだから…っ!」



あたしの髪色は赤茶色。
学校の中でもかなり目立つ方。



地毛の色だから直す必要はない。
でもそれを良しとしないこの3人の先輩。



あたしは何も悪くないのに。