「美華、お願い!!」


あたしが教室に入るなり、沙織は言った。


その声は教室中に響いていた。


まわりが少しざわめく。


晴樹くんのことを考えていたのに、それが吹っ飛んでしまった。


「どうしたの、沙織。とりあえず座ろう?」


困った様子の沙織を座るように促して、あたしも席につく。


何があったのかは分からないけど、沙織の様子を見れば困っているのは明らかだった。


そしてなぜかあたし達に降り注ぐ周囲の視線。


「美華、お願い。モデルになってほしいのよ!!」


「モデル!? って、絵の?」