「わかりました。じゃあ、あたしはこれで」


黒く長い髪をひるがえして去っていった少女を呆然と見ていた。



「アハハハッ。冬馬でも断られることあるんだね」


「うるせーよ」


俺は口調を崩した。


こらえきれない、というように笑うコイツは澤村海斗。


俺の本性を知る唯一の親友だ。


よほど面白かったのか、未だに笑ってる。


「あの子、波野美華(なみの みか)ちゃんだよね? 学年一の美女ってウワサの」


「あぁ、同じクラスなのに、話したことなかったけどな」