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とある日




とくに今日はやる事もなく、薫は買い物がてら町へ来ていた。



やはり、明るい時間帯の方が賑わっている。



歩きながら店を見ていると、威勢の良い女性の声が聞こえた。



「おーい!薫〜!」




薫は声のする店にやってきた。




薫「どうしたんですか?お市さん」



声の主は、この店で煎餅などを売るパワフルな女性、市だった。



市「ちょいと店番を頼まれてくれないかい?なるべく早く戻ってくるから」



薫「構いませんよ」



市「すまないね。じゃぁ、ちょっくら頼むよ!」



そう言って市は出かけて行った。



店番と言ってもただ座っていれば良いのだが。




薫は時々、市の店に限らず、店番を頼まれることがある。



もちろん、新選組の人間と知っている。





薫『醤油の香ばしい匂いだ』





「おっ!薫じゃねぇか。店番頼んじまって悪いな」



奥から顔を覗かせたのは、この店の主人である大次郎だ。ちなみに市の旦那でもある。


とても優しいと有名だ。言ってしまえば市の方が怖いという……。