「……ちょっと。六花、アンタとうとう頭おかしくなったんじゃないの?」


「おか……ってななちゃん先輩ヒドイ!」


「いや、普通そう思うでしょうよ。昨日あんなことがあったのにそんなニヤニヤしてるから」


「……うっ」



確かに、昨日あんな風に体育館から走り去ったんだからそう思われてもおかしくないけど。


でも、だからといって頭おかしくなったはヒドイんじゃない?


まぁ、そう思われても仕方ないけどさ。


だって、今の私はななちゃん先輩の言う通り気持ち悪いほどにやけているから。


昨日、体育館から走り去った時とは180度違うと言ってもいいほどに。


だから、ななちゃん先輩からすればショックで頭がイカれた可哀想な後輩にしか見えていないんだろう。


なんだかそう思われているのは癪だから、にやけている理由を教えることにした。



「じ、実は私……、あの後体育館に戻ったんですよね」


「え?えぇぇぇぇぇ!!」


「……え、えへ」


案の定、ななちゃん先輩は切れ長の瞳をこれでもかと言うほど大きく見開いて驚愕の声を上げた。



「ちょっと、どういうことよ!?くわしく教えなさいっ!!」


「ちょ、ななちゃんせんぱ、苦し……」



ガシッと私の両肩を強く握りしめたななちゃんが、後退りしたくなるほど恐い形相をしながら私の両肩を激しく前後に揺さぶる。



ちょ、目が回るってば!