あれから、家に帰る気にはなれなくて、そのまま依那ちゃんの家へと向かった。


誕生プレゼントを選んだこと、

その後映画に行こうとしたこと、

佐久間と高崎さんに会ったこと。



全部依那ちゃんに聞いてもらった。




心のどこかで二人はデートなんかしないって思ってた。



だから、二人が一緒にいたことが本当にショックで。



「自主練するって言ってたのに……」


「六花……」


「佐久間の馬鹿野郎」



気が済むまで依那ちゃんにグチった。













「また明日ね」


「うん。依那ちゃん、今日はありがとう」




依那ちゃんとバイバイしたのは、佐久間と逢った四時間後の夜八時。



突然の訪問にも関わらず、私の分まで晩御飯の用意をしてくれた依那ちゃんママ。



依那ちゃんママお手製のハンバーグを思う存分堪能し、少しおしゃべりをしてから帰宅。



「ご両親いないんだったら泊まっていったらいいのに」と依那ちゃんママが言ってくれたけど、


着替えもないし、明日依那ちゃんが泊まりにきてくれるから今日は大人しく帰ることにした。



依那ちゃんの家は私の家からかなり近くて。

徒歩だと十分もかからないと思う。



それでも、「危ないから」と依那ちゃんパパが送ってくれようとしたけど、「近いから大丈夫です」と必死にお断りした。


さすがにこの距離は申しわけなさすぎるから。