「あのー、六花ちゃん?」


「……なんですか先輩」



早くも合宿三日目になり、その三日目も半日が過ぎようとしていた。


午前の練習中、ずっとピリピリしていた私はもちろん佐久間と会話なんてあるはずもなく、視線すら合わさない。


そんな私を見かねたのか、ずっと沈黙を続けていたななちゃん先輩が話しかけてきた。


さすがに無視するわけにはいかず、練習を抜けて体育館の端っこに移動する。



「なにかあったの?」


「………」


「さっくん?」



男子バスケ部の方をチラ見したななちゃん先輩に無言で頷くと、先輩は「やっぱり」とため息を吐いた。


ななちゃん先輩にこれ以上心配させるわけにはいかず、仕方なく昨日あったことをポツポツと話し始める。